診療科目 耳鼻咽喉科
中耳腔に滲出液がたまる、痛みのない中耳炎です。聞こえが悪くなります。
疾患原因
・4歳から7歳までの子どもとお年寄りに多くみられます。
・原因は耳管(鼻と耳をつなぐ管)の働きが悪くなって起こります。
・耳管の機能が悪くなると、中耳腔の換気が悪くなり、中耳粘膜が浮腫を起こして滲出液が貯留します。
このため外からの音がうまく伝わらなくなります。
症状解説
・耳管の働きは風邪をひいたり、鼻やのどの病気をすると悪くなります。
・特に子どもでは急性中耳炎(耳が痛くなる中耳炎)の後に耳管がつまりやすくなります。
・症状は耳が詰まる感じ、聞こえが悪いなどがありますが、子どもでは80%が自覚症状を訴えません。
また、急性炎症ではないため痛みや耳だれは起きません。
・子どもでは返事が遅い、ぼんやりしている、テレビの音を大きくするなどの症状に注意しましょう。
治療法と注意点
・治療は鼻やのどに原因があることが多いので、副鼻腔炎(蓄膿症)、アデノイド(鼻の奥のリンパ組織)、扁桃腺炎の治療を行います。
・3カ月間以上このような治療を行っても効果がない場合は、鼓膜切開を行い、鼓膜の奥に貯まった貯留液を除去します。鼓膜切開は痛み止め(局所麻酔)をして行いますので、痛みはありません。
・鼓膜切開をしても貯留液が繰り返したまる場合や、貯留液が粘稠(ねばねば)で、鼓膜が強く陥凹するような場合は、鼓膜切開をしたあとに小さなチューブを鼓膜に入れます(鼓室チューブ留置)。これは急須の蓋にある小さな孔と同じ働きをして、中耳腔の貯留液が耳管から鼻にぬけやすくします。
・チューブを留置すると聞こえが改善します。
・チューブは1年から2年そのままにしておきます。飛んだりはねたりしてもはずれませんが、頭を洗うときや水泳をするときは耳栓をしましょう。また、留置中は垢が詰まったり汚れたりするので、定期的な医師の診察が必要になります。
・滲出性中耳炎を放置すると、難聴になるばかりか、真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎といった難治性の、大きな手術を必要とする中耳炎に移行しやすいので注意しましょう。
関連疾患(細目)
急性中耳炎
反復性中耳炎
慢性中耳炎