診療科目 耳鼻咽喉科
・ニオイは鼻の後上方(両目の間あたり)にある嗅(きゅう)細胞で感じていますが、においがわからない状態を総称して嗅覚(きゅうかく)障害といいます。
疾患原因
・原因には大きく分けて、中枢神経性と末梢神経性、呼吸障害性の3種類があります。
・中枢神経性は文字どうり、ニオイを感じる脳細胞が障害を受けているために嗅覚がないものです。
・末梢神経性とは、嗅神経が障害されてニオイを感じることができないもので、多くは感冒のウイルスにより嗅細胞が侵されて発症します。
・呼吸障害性は鼻の粘膜が腫れたり、鼻漏が多くて、ニオイ物質が嗅細胞まで到達しないために、嗅覚が障害されるもので、慢性副鼻腔炎に伴って発症します。
検査と治療
症状解説
・簡単にできるにおいの検査にアリナミンテストがあります。
・これは腕の静脈にアリナミンの注射をして、呼気のニンニク臭を感じることができるかを調べる検査です。
・この検査で反応があれば、嗅細胞の機能がある程度、保たれているので、治療に期待が持てます。
・治療は嗅粘膜に対してリンデロンなどのステロイド剤の点鼻を行います。
・これは粘膜の浮腫を軽減し、嗅上皮を活性化する作用があります。
・決められた使用法を守れば、特に副作用の心配はいりません。
・その他、ビタミン剤や消炎酵素剤の内服を併用します。
・慢性副鼻腔炎が合併している場合はさらにマクロライド系抗生物質や抗アレルギー剤を追加します。
・通常はこのような保存的加療を2、3カ月行います。それ以上行っても効果があらわれない場合は、残念ながら治療に期待が持てません。特に末梢神経性のものでは治りにくいことが多いようです。
・慢性副鼻腔炎を合併していて、保存療法で効果がない場合は手術療法も考えます。
・最近は内視鏡下鼻内手術といって、内視鏡で鼻内を観察しながら、嗅細胞周囲の病的組織のみを除去する方法で行います。つまりポリープを除去し、嗅細胞までニオイ物質が到達しやすくするのです。
・鼻づまり、鼻漏に対する有効率は90%以上ですが、嗅覚障害に対しては60%くらいです。
治療法と注意点
関連疾患(細目)
慢性副鼻腔炎
急性鼻炎
慢性鼻炎
アレルギー性鼻炎