診療科目 耳鼻咽喉科
・耳硬化症は、鼓膜の裏にある3つの耳小骨のうち一番奥にあるアブミ骨が周囲の骨と固着して動きにくくなり、音が伝わりにくくなる病気です。
疾患原因
・アブミ骨が周囲の骨と固着して音が伝わりにくくなる伝音難聴で始まりますが、進行すると内耳にまで硬化組織がおよび、感音難聴も示すようになります。
症状解説
・はじめは伝音難聴を起こしますが、進行すると感音難聴や混合難聴になります。
・発症には遺伝的要因があり、東洋人より白人に多い病気です。
・女性にやや多く、妊娠によって難聴が悪化することもあります。
・両側進行性の伝音難聴が主症状となる場合が多く、日本人では発症年齢が30歳ころで、手術が必要となる年代は40歳代の中年です。
・思春期以降に発症する進行性の伝音難聴で鼓膜が正常であれば、耳硬化症の可能性が高くなります。
・聴力検査では通常両側性で、2000Hz付近の骨導差が小さくなる混合難聴です。これをカールハルトのノッチといいます。典型的な固着性混合難聴のパターンです。
・そのほか、ティンパノメトリーで鼓膜の動きを調べ、アブミ骨筋反射の消失などの検査所見を参考に診断します。
・最近の高精度の側頭骨CTでは、耳硬化症の病変を描出可能なことも多く、他の耳小骨の固着や奇形が原因の難聴の鑑別もある程度可能です。
治療法と注意点
・耳硬化症の診断がついたら感音難聴が進行しないうちに手術を選択します。
・薬による治療はまだ研究段階なので、手術を希望しない人は補聴器を使います。
・通常、全身麻酔でアブミ骨手術を行います。固着したアブミ骨底板の可動性を回復するためにあぶみ骨の底板に小さな穴をあけ、そこにピストンを入れる方法がよく用いられます。
・手術の成功率は90%以上です。
関連疾患(細目)
中耳奇形
あぶみ骨手術