診療科目 耳鼻咽喉科
・耳鳴りは、周囲に音源がないのに音を感じる状態で、音色も音の大きさも人によって異なります。
疾患原因
・耳鳴りが起こる仕組みはよくわかっていませんが、耳鳴りが起こっているときの多くの場合は、同時に難聴を伴っていることがわかっています。
・しかも耳鳴りが起きている音とほぼ同周波数の音が聞こえにくくなるという難聴を伴っていることがわかっています。
・したがって、耳鳴りがある場合は、難聴を起こす病気を疑う必要があります。
症状解説
・老人性難聴は加齢に伴い、通常、両方の耳に起こります。「キーン」という蝉の鳴くような高音の耳鳴りが多くみられます。
・メニエール病は中年の女性に多く見られ、激しいめまいとともに起こります。片方の耳に起こることが多く、「ゴー」「ザー」という低い音の耳鳴りがします。
・急性低音障害型感音難聴ではメニエール病と同様に低音の難聴と耳鳴りがするがめまいは起こりません。
・突発性難聴ははっきりした原因がなく、突然、難聴、耳鳴が起こります。耳鳴の性質には特徴はありませんが、いつから聞こえが悪くなったとはっきり自覚でき、通常は一側性です。
・騒音性難聴は音がうるさい職場の人に多く、慢性的なキーンという耳鳴が多いです。
・これ以外に難聴を伴わない耳鳴りもあります。その場合はストレスなどによる心因性の耳鳴りが考えられます。また老人性難聴では、初期には難聴の自覚がなく、耳鳴りだけが聞こえるということもあります。
・耳鳴りには一時的な耳鳴りと持続的な耳鳴りの2種類があります。
・一時的な耳鳴りは原因を調べれば治ることもありますが、持続的な場合は、なかなか治りにくいといわれています。
・静かな無音状態で、「シーン」という耳鳴りが聞こえることがありますが、健常な反応であり、病気ではありません。
・他覚的耳鳴は外部からも聴取可能な、実際に聞こえる耳鳴で、多くは耳管周囲の筋肉の異常運動により起こります。
治療法と注意点
・耳鳴を完全に消失させることは難しいので、日常生活で気にならないレベルまで緩和することが治療の目的です。
・耳鳴を感じるレベルのことを域値と呼び、人によって程度がっ違い、またその時の体調や精神状態によっても変化します。
・耳鳴の治療法は薬物療法とマスカー療法があります。
・難聴の原因となる疾患毎に推奨されている治療を選択して、自分に合った治療法を見つけましょう。
・一般的には内耳の血管拡張剤、循環改善剤、ビタミンB12,安定剤、漢方薬などが投与されます。
・突発性難聴であればステロイドの内服や点滴、高気圧酸素療法なども行います。
・慢性化した耳鳴には、局所麻酔薬の静注や中耳腔へのステロイド注入などが行われますが、確実にこれを消失させることは困難です。
・その他、慢性期におこなわれうる治療として、Tinnitus Retraining Therapy(TRT)が本邦にも広まっており、その有効率は6-80%程度とされています。これは耳鳴と同じ周波数の音を聞くことにより、耳鳴に慣れる治療法です。
・筋肉の痙攣の場合には抗痙攣薬などが用いられることもあります。
関連疾患(細目)
感音難聴