統合医療

耳鼻咽喉科の漢方治療

漢方薬

耳鼻咽喉科領域の疾患にも漢方薬が有効なものがいくつかあります。ここではその代表的なものをいくつか紹介します。

 

漢方薬は生体が本来持っている病気を治そうとする力を高める作用があります。西洋薬(新薬)は薬理作用が比較的はっきりしているので、体の中の個々の器管の病態(血圧を下げるとか、血糖を下げる、細菌を死滅する、熱を下げるなど)に応じて使用し、作用が早く、顕著に現れます。これに対して漢方薬は体全体に作用して、免疫を調節したり、胃腸の消化を良くしたりして、様々な機能を円滑にして、結果的に病気を治す薬です。したがって、慢性疾患や、局所のみならず、体の不調からくるいろいろな症状を持つ疾患に適しています。

漢方的体質分類
実証と虚証、体質が強いか弱いか、強ければ麻黄、大黄が有効。
弱ければ人参、乾姜が有効。
陰陽
生命反応の強弱、体温、脈拍、新陳代謝など、陽は熱がりで冷やす薬(黄連、柴胡、麻黄など)を使用。
陰は暖める薬(附子、人参、乾姜など)を使用。
気、血、水
気は精神状態や神経内分泌系の状態など、血は血液の循環障害、貧血など、水はむくみ、浮腫、口渇、尿量など。それぞれの異常に応じて漢方を使用。
気うつには厚朴。瘀血(オケツ)の実証には牡丹皮、虚証には当帰。水毒には半夏、麻黄など。

漢方に使用する主な生薬耳鼻咽喉科で主に使用する漢方薬疾患別処方例

漢方薬の処方

耳鼻咽喉科では慢性に経過する疾患(副鼻腔炎、慢性咽喉頭炎やアレルギー性鼻炎など)、体全体の不調から局所の異常が出やすい疾患(めまいやのどの違和感など)を扱うことが多いので、漢方治療も有効です。

 

漢方薬はいくつかの生薬のエキスを混合して内服します。薬理作用が様々なので、効果の発現までには2週間ほどかかりますが、体質によって合う人と合わない人があるので、漫然と使用するものではありません。少なくとも1ヶ月内服して、効果が全然ないのならやめたほうがいいでしょう。また、副作用も全くないわけではありません。

要は個人個人の体にあったものを適切に選ばないと効果が出ないということです。この点が、症状に応じて処方すれば、誰にでもほぼ同一の効果が期待できる西洋薬との違いです。通常は、西洋薬をしばらく使用して、満足すべき効果が得られない場合に、患者さんと相談して漢方薬の併用、または単独使用を考えます。

 

漢方薬の処方は、従来の漢方的な考え方に西洋の病態理論を加味して行います。

 

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