診療科目 耳鼻咽喉科
・慢性中耳炎とは、急性中耳炎の遷延や外傷等によって生じた鼓膜の穿孔が、閉鎖せず残存したためにおこる中耳炎です。
疾患原因
・鼓膜は、再生能力の強い器官であり、生じた穿孔はたいてい自然に閉鎖しますが、炎症等の原因で自然閉鎖できない場合があります。
・鼓膜に穴が開いたままだと鼓膜の裏側の中耳腔は、常に外界にさらされることになり、慢性の炎症が持続することになります。
・鼓膜の穿孔による伝音難聴、炎症による耳だれが主な症状です。
症状解説
・炎症が長期化すると、粘膜の肥厚や石灰化によって耳小骨の可動性が低下することにより、難聴が進行します。
・また、蝸牛(振動を電気信号に変換する器官)の機能も、炎症により徐々に低下して感音難聴を合併する場合もあります。
・伝音難聴と感音難聴が重なった混合難聴も、慢性中耳炎にはよく見られます。
・耳だれは、多くの場合、風邪をひいたり体調が悪いときに出てきます。
治療法と注意点
・病変が鼓膜に限局している場合、手術による鼓膜の閉鎖(鼓膜形成術、接着法)を行います。
・耳小骨に障害がある場合には、鼓膜から蝸牛への音の伝わり方を変える手術を行います(鼓室形成術)。
・耳だれが継続して起きている場合には、まず内服薬や点滴で耳だれを止めてから手術をすることもあります。
・鼓膜形成術(接着法)は日帰りまたは1泊入院で局所麻酔で行います。
・鼓室形成術の場合は、全身麻酔で3〜7日間の入院が必要です。
関連疾患(細目)
急性中耳炎
滲出性中耳炎